Q&A

不況のため経営している会社を人に譲って清算したいと思います。その際注意すべきことはありますか?

今まで行っていた事業を人に譲渡する際には、2つの点に気をつけなければいけません。

一つは、事業譲渡の対価(つまり、譲渡代金)です。これが、あまりに低すぎると後に問題となります。いわゆる適正価格の売却の問題で、場合により詐害行為取消権(民法424条)の対象となります。もう一つは、残った会社の清算方法です。譲渡代金によって完全に会社の負債を清算できるのならいいのですが、そのような例は希でしょう。一般的には、労働債権・税金などの優先債権や取引上の債権は全部支払うとしても、金融債権までは完全に支払えないことが多いのではないでしょうか?そうすると、残った会社を特別清算することになりますが、金融債権者の事前了解がないと、すでに支払ったものが偏頗弁済としてこれも取消の対象になり得るのです。

そして、最終的に破産に至れば、破産管財人が上記2点に問題がなかったかを調査することになります。いずれにしても、すべての債権者に全部返済できる場合以外は、事業再生の経験が豊富な弁護士に相談した方が必よいと思います。