Q&A

当事務所によく寄せられるご質問をまとめました。
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遺言相続

Q.01

将来に備えて遺言を書こうと思っているのですが、遺言には、公正証書遺言、自筆証書遺言、秘密証書遺言などいろいろ種類があると聞きました。どれを選べばよいのでしょうか?

どの遺言が最も適切なのかは個別の判断にはなります。ただ、一般的には、公証人に遺言作成に関与してもらう「公正証書遺言」をお勧めすることが多いです。遺言では作成時のルールが決められており、それを守らなかった場合は効力が発生しないこともあります。一度ご相談されることをお勧めします。

Q.02

公正証書遺言にしておけば、後で絶対に問題となることはないと聞きましたが、本当でしょうか?

公正証書遺言だからといって、常に有効と判断されるわけではありません。特に、判例上問題となるのが、「口授」(「くじゅ」と読みます)の概念です。例えば、公証人が予め用意していた書面を読み上げてその内容を遺言者に確認したところ、遺言者が「はい。」とか「それでよい。」と言っただけのものは、いわゆる「口授」があったとは言えません。「口授」というのは、遺言者の遺言意思を担保するものとして、判例ではかなり厳格に認定される傾向にあります。しかし、裁判例をみると、遺言者が「はい。」と答えるだけで公正証書遺言が作成された事例が過去にあったようです。単に「はい。」と答えさせるやり方で作成された公正証書遺言は、裁判で争われたら、無効と判断される可能性が高いといえます。

Q.03

「遺留分」について教えてもらえませんか?

遺留分は、遺言や一定の贈与によっても奪うことができない相続人の権利です。もっとも、遺留分は、配偶者や子、直系尊属(親など)についてのみ認められ、兄弟姉妹については認められていません。また、遺留分には時効があり、相続開始(被相続人が死亡)の事実や遺言等による遺留分侵害の事実を知ったときから1年以内(かつ相続開始時から10年以内)に行使しないと時効にかかってしまいます。遺留分減殺請求権を行使するときは、受贈者又は受遺者等に対して遺留分減殺請求権を行使する意思表示を記載した内容証明郵便を送るのが通常です。
なお、遺留分については、相続開始(被相続人が死亡する)前に、家庭裁判所の許可を得て放棄することができるとされています。

Q.04

預貯金は遺産分割の対象となるのでしょうか?

現在(2016年6月時点)は、預貯金債権は相続人間の相続分に応じて当然に分割される、と考えられています(判例の立場)。但し、相続人間で合意すれば遺産分割調停等において分割対象とすることができる、という扱いです。
この点、金融機関によっては、未だに相続人全員の実印・印鑑証明が必要との扱いをする所もあるようです。しかし、分割債権になるという判例の立場からは、遺言があるとか、遺産分割協議書がある等の事情がない限り、各相続人による分割債権の支払を拒み得ないことになります。そして、このような判例の立場に従った取扱いをする金融機関が着実に増えてきていると思います。

Q.05

遺産の中に賃貸物件があったとき、被相続人死亡後の賃料は、遺産分割の対象となるのでしょうか?

判例によれば、被相続人死亡後の賃料債権は、いわゆる遺産相続の対象とならないとされています。つまり、被相続人の遺産は共同相続人の共有に属するとされていますが、相続開始から遺産分割までの間に発生した賃料債権は、遺産とは別個の財産として扱われます。従って、遺産の中に賃貸不動産があったら、遺産分割が成立するまでに発生する家賃は、遺産とは別個に各共同相続人が分割して取得することになります。

Q.06

最近わたしの父が亡くなりました。自分一人が病気療養の手伝いをしてきたのですが、遺産は何の手伝いもしていない他の兄弟も同じ割合で相続するのでしょうか?

基本的には、平等の割合で相続することになります。ただ、「寄与分」や「特別受益」の制度もありますので、これらを総合して持分割合を決めることになります。何が寄与分や特別受益にあたるかは、もっと事情を聞いてみないとお答えできませんので、具体的に相談の時間を取られることをお勧めします。